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建設業の社会保険未加入問題って?社会保険の加入率

社会保険の加入率が低いことを受け、平成29年(2017年)4月より、特別な理由を除き社会保険未加入者の現場入場が認められなくなった建設業界。一体どれくらい社会保険加入率が低いのか気になりませんか?そこで国土交通省が実施した社会保険加入状況の調査結果(平成28年10月調査)を調べてみました。

企業別の加入率は?

企業ごとの社会保険加入率は以下のようになっています。

企業別に見ると、かなり高い確率で社会保険に加入していることがわかります。年別の割合の推移に関しても、平成23年10月の調査で3つの保険に加入している企業が84%だったのに対し、平成28年10月には96%にまで改善されています。

労働者別の加入率は?

労働者別に見た社会保険の加入率は以下です。

こちらも企業ごとの数字よりは小さくなりますが、それでも決して加入率は低いといった状況ではありません。国土交通省が社会保険加入強化対策を打ち出した平成24年10月の調査結果では、雇用保険75%、健康保険61%、厚生年金保険60%、3つの保険に加入している人が58%でしたから、それを考えるとかなり改善されたということがわかりますね。

地方ごとに加入率は違う?

国土交通省の社会保険加入推進がスタートしてから、着実に社会保険加入者が増えているようですが、地方によってその数字に違いはあるのでしょうか?こちらも国土交通省の調査結果を見てみました。

地方別の加入率:企業別

企業別でみると、平成23年10月時点では関東地方だけがずば抜けて低い加入率となっています。その他の地方が84.1〜95%なのに対して、関東地方だけ70.3%とかなり低い数字になります。しかしながら平成28年になると関東地方の数字もグンと向上し、各地方ともに90%の高い加入率となっています。

地方別の加入率:労働者別

労働者別に見ると、こちらも平成23年10月時点では関東地方が37.8%とかなり低い加入率になっています。ただし他の地方も低いところで50.5%、高いところで73.3%とそれほど加入率が高いというわけではありません。

平成28年10月の時点で関東地方が63.1%と他の地方に追いつきを見せてはいますが、加入率は最下位。加入率87%の北陸地方と比較すると、20%以上の差が出ています。

ちなみに、どのエリアにも言えることですが、元請けより1次下請け、1次下請けより2次下請けというように、高次の下請けになるほど加入率が低くなることがわかっています。

※ 参考資料:社会保険加入状況調査結果について

まとめ

国土交通省の社会保険加入強化によって建設業界の社会保険加入率が向上してきていることは大きな成果ではありますが、まだまだ改善の余地はありそうです。社会保険への加入が強化されることによって労働者は働きやすく、またそれが今後の人手不足の解消につながるでしょう。事業所を経営している側にとって面倒もあると思いますが、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。

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